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15days ago

【CLUTCH ARCHIVES】 WHAT HE LIKES THINKS MAKES-Nigel Cabourn

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WHAT HE LIKES,WHAT HE THINKS,WHAT HE MAKES.
Nigel Cabourn

 
世界でも有数のヴィンテージ愛好家,
ナイジェル・ケーボンが手掛ける英国ブランドNigel Cabourn。
 
ミリタリーやアウトドアといった昔の機能服が持つ魅力を現代に伝えるために彼が普段何を考え、どのようにしてカタチにしているのか、その姿を追った。
 
 
Nigel Cabournの定番スタイルといえばこちら。中でもマロリージャケットは名作といえる。1920年代のエベレスト遠征隊が着
ていたジャケットを基にオリジナルでデザインし、改良を重ね現在の形が誕生した。英国伝統の素材であるハリスツイードをボディに、第二次世界大戦時に英国軍が重宝した強度と撥水性を持つコットン素材、ベンタイルを肩と肘に使用。
 
 
 
 
 
Nigel Cabournでは、かつて存在した英国のワークウエアブランドLYBROを2015年より実名復刻している。若い世代にもヴィンテージカルチャーを知ってもらいたいという思いを込めて価格帯をNigel Cabournよりも少し低めに設定しているが、高い品質はそのまま。レディス向けアイテムも含め、いまナイジェルチームが精力的に取り組んでいるプロジェクトである。
 
 
CABOURN HOUSE
 
ニューカッスルにあるナイジェル・ケーボンの自宅兼事務所。彼のモノ作りはココから生まれ、世界へ発信されている。


スタッフ
のショーンと共に生地見本の確認中。この生地が適するアイテムやより雰囲気を出すことができる加工方法について意見を交換し合う。今はみな勢揃いで2017SSの最終チェックに追われている。

 
ナイジェルは、仕事に関してはもちろん、スタッフの着こなしについても「それいいね」と何度も褒めていることが印象的だった
 
自分が好きなものを世界に発信するために。
ファッションの世界に身を置きながら、見事に流行にとらわれていない実に不思議なブランドNigel Cabourn。1970年代にデザイナー、ナイジェル・ケーボンが、前身となるブランドを立ち上げ、膨大なヴィンテージのミリタリーアウトドアガーメンツからインスピレーションを受け現代の高度な技術でそれらを蘇らせる英国発のブランドである。
 
そのスタイルはずっと変わらず、世界に多くのファンを持つ。読者の方には馴染み深いことは承知の上、しかしもう一度Nigel Cabornについて掘り下げてみたい。なぜならCLUTCH Magazineも創刊以来、普遍的価値を持つプロダクツと信念を持ってモノ作りを行う人々に焦点をあててきた。Nigel Cabournというブランドが如何に興味深く、またそう簡単になしえるクリエイションではないことを改めて発信したいのだ。


探検家の伝記や資料本がぎっしり。下調べをしっかりとすることで、単にリプロダクションにとどまらず、洋服を通じて当時の時代背景までも伝えることができる。


旧い写真はモノ作りの貴重な資料。オフィスの階段に引き伸ばした写真を飾っているが、インテリアとしても洒落ている。
 

写真右から)Nigel
Rachel
Kyle
Jeannie
Beth
Sadie
Andrew
Emilie
Shaun Connor
 
 
 
ロンドンから電車に揺られること3時間、イングランド北西部のに到着する。海沿いに位置するニューカッスル。ここは旧くは軍事上の要塞地域として、また商業や貿易の拠点として発展した歴史をもつ街である。坂道が多い街中には旧いレンガ造りの教会やビルが今でもしっかりと残り、街を少し離れれば緑豊かな農園地帯が広がる。大都会ロンドンとはまた違った趣が漂うニューカッスルがNigel Cabournのホームタウンであるブランドディレクターでありデザイナーのナイジェル・ケーボンは、ヨーロッパ、アジア、アメリカと世界中を飛び回る多忙な日々を送るが必ずここへ戻ってくる。都会に比べれば交通の便はお世辞にも良いとは言えず、大好きなヴィンテージショップなどもない。けれども、世界を股にかけるデザイナーだからこそ必要なのは落ち着いた場所とゆっくりと流れる時間。ニューカッスルにはそれが揃っている。自宅兼事務所ではチームの指導をしたり、メンバーと次のデザインを考えたり、なるべく多くの時間を共に過ごすようにしている。これまでに収集してきたヴィンテージウエアは手の届く場所に保管しており、いつでも見返すことができる状態。生地見本が新しく届けば、はたして理想に近いか、また近づけるためにはどのような修正が必要か、若手のスタッフを隣に呼び、自分の目と手でひとつひとつ確認する。機能服のディテールや素材にはすべて意味があるからね。僕が30年以上もヴィンテージに惚れているのはその部分だから、表現できるまで妥協はしない。Nigel Cabourn WOMANのデザインを任せているエミリーはじめ、スタッフはみな優秀だから僕の考えをどんどん吸収してより良いモノを一緒に作ってくれている。それから、こうして一生懸命作ったものを、自分で着ることが重要だね。当たり前のようだけど、 〝自分はこういうモノやカルチャーが好きなんだ”と周りにPRしていかなきゃ。でないといくら面白いものを作っても広がっていかない。僕はずっとそうしてきたし、これからも続けていく」
 
 
Nigel Cabournの現在のレーベルは、ヨーロッパの生地を多用しと生産するオーセンティックライン。英国を中心とした伝統的な工場で日本を中心に生産されるメインライン、そしてLYBROというワークウエアブランドの3つに分けることができる。オーセンティックラインとメインラインに関しては、ナイジェルが作りたいものをより忠実に再現できる生産方法はどちらか。それによってラインが分けられる。目指しているものはもちろん、何十年も前に人々の身を守った機能服。だがヴィンテージのリプロダクションが世界中で行われている昨今、Nigel Cabournがクオリティ、知名度においてトップを走り続けるのにはやはり理由がある。

ナイジェル自身が67歳の現在もなお
熱意とバイタリティを持ち続けて指揮を執っていること、だが決して若者の意見をシャットアウトしないこと、自らPRを怠らないこと。そして母国英国の伝統あるモノ作りに誇理を持ち、より良い品質を求めて、外の世界も見ること。もはやそこに、流行といった言葉が入ってくる余地はない。これもまたファッションのひとつの形なのである。「僕がファッションカレッジに通っていた頃(ʼ70年代)、メンズファッションがやりたいなんて言っていたのは生徒200人中、僕含めて3人くらいだったよ。あとはみんなレディス。その頃から周りがどうとかは気にしていなかったね。人と違うことをしなきゃ。ビッグ・ボスはいまさら仕事について多くを語らない。Nigel Cabournを知りたければ洋服を見てほしい、と言わんばかりに。


最近フランスのマーケットでゲットしたコットンリネンの女性用キュロット。1940年代のものと思われる。Nigel Cabourn
WOMANの資料にしようと検討中

WWⅡのフライトスーツインナー。飛行の高度によって気温が変わるため、インナーで体温を調節していた。リングベルトがついている

大変貴重なWWⅠのアーヴィン・シープ、スキン・ダッフルコート。これぞ真に化学繊維がない時代に人々の命を寒さから守った機能服


ブラシで描いたようなカモフラージュ柄が特徴の英国軍スモック。こちらもWWⅡのもの。タフなドローコードやファスナーにも注目

WWⅡの英国陸軍トラウザーズ。グリーのデニム生地が珍しくコレクションの中でも特に気にいっているうちのひとつ。デザイナーとして探求心をそそられる1着

WWⅡの英国軍オフィサーシャツ。ハリのあるポプリン生地が良い状態で残っている。「Nigel Cabournではポケットを付けて作ってみようかと思っている」

新品のオイルドクロスを手でもむ。「僕にはどんな生地も新しすぎるように見える。旧さを感じる生地の方が好きだから、こうしてシワをつけて着こんだときの生地をイメージしてみるんだ」
 
 
LYBRO
 
学生時代からナイジェルにとって思い入れのあった、リヴァプールのワークウエアブランドLYBRO。再び知るきっかけになった時に同社はすでに消滅していたが、ならばと思いナイジェル自身で復刻することに。デニム生地を多用しオリジナリティを加えたコレクションを展開している。

 
 
 
SPORTS WEAR
 
ナイジェルの日課で欠かせないのがトレーニング。当初は減量が目標だったがリフレッシュになるので今では毎朝6時から週6日行っている。スポーツウエアはヴィンテージでも重要なジャンル。トレーニングはモノ作りのヒントにもなるうえ、近年では下のFRED PERRYとのコラボレーションに繋がった。
 
ジムでトレーナーのボブと共にトレーニングしている。67歳とは思えない激しいメニューをこなしていくナイジェル。天気が良け
ればビーチでランニングすることもある。




2014年、Nigel Cabourn待望のロンドン旗艦店がオープンした。市街中心部の一等地に建ち、店内にはナイジェルがこまでに集め
てきたヴィンテージの什器等をディスプレイ。ワンフロアにブランドの世界観が詰まっている。Nigel Cabourn WOMANのコレクションも一角を占め存在感を放っている。

 
 
 

 
ナイジェルはこれからも、タフに進んでいく。
14ページにわたって、オフィス、プロダクツ、トレーニング、ショップとナイジェル・ケーボンの日常を紹介してきた。恐らく彼
は、まだ満足してはいない。もっともっとやりたいことがあるはずだ。それを少年のような笑顔で見せてくれることを私たちは期待している。
 
Nigel Cabourn THE ARMY GYM London Store
28 Henrietta Street, Covent Garden, London, WC2E 8NA, U.K. 
Tel.+44 (0)20 7240 1005
11AM-6:30PM (Mon-Wed,Fri,Sat) 11AM-8PM (Thu) 12PM-5PM (Sun

OUTER LIMITS
Tel.03-5457-5637



Photo by Nick Clements ニック・クレメンツ Takashi Okabe 岡部隆志 Jun Arata アラタジュン
Text by CLUTCH Magazine 編集部 


※本ジャーナルは、CLUTCH Magazine vol.51 の内容を再編集したものです

 

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