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編集長ブログ
2017.08.23
CLUTCH MAG person Books&Magazine
ニック-クレメンツと私、松島。今夏のBrooklyn,NYにて。
ニック-クレメンツと私の仲介役になったのは画家のコンラッド-リーチだった。
たぶん、あまり本人は意識していないだろうが。
ニックと2人きりだったら、そんなに長く話すこともなかっただろう。
彼の望みはクリエイションに専念することだった。
そう、彼はそもそもがフォトグラファーなのだ。
私は、クリエイションに携わっては来ているが、時にプランナーであり、時にマネージャーもやる。
編集も好きだが、出版が好きなのだ。
雑誌の力も捨てたもんじゃない。
その力を活用すれば世界は広がる。
だから、CLUTCH Magazineがmen's fileという雑誌の力を使い、men's fileがCLUTCH Magazineという雑誌の力を使う。
この組み合わせで、さらに世界を広げたい。
あっという間にそんな気持ちになったのだ。
当時から、men's fileは日本のコンテンツを多く扱っていた。
そのため、もっと多くの日本の読者を獲得したいという思いもあると言う。
かつて在籍した出版社が、ダブルフェイスの雑誌を作っていたことを思い出した。
その雑誌は、当時人気の女優と超有名プロスポーツ選手を前後で表紙に使って、ダブルフェイスで創刊して話題になった。ただ、雑誌をめくっていくと、真ん中で、誌面が切り替わるようになっていた。
数号そのスタイルをやったが、評判はあまり良くなく、すぐにその画期的なスタイルをやめてしまった。
うまいこと、CLUTCH Magazineは右から開く縦組み構成で、men's fileは左開きの横組み構成だから、そのダブルフェイスもやりやすいなとは思ったのだが、それぞれのページ数が同じでなければカッコ悪い。ページ数をフレキシブルに変える私のスタイルには向いていない。
Lightningでは、13周年記念号で二冊を合本して出版したことがあった。一冊が本体、もう一冊は付録扱いだった。その二冊を包むように本表紙がさらに糊付けして、分けられるように作ったことがあった。
コストもかかるので、あまり一般的ではないが、
やるならそれだな! そう考えた。
製造コストのことを考えたら恐ろしいが、この特殊な製本は世界を驚かせるにはぴったりだ。
本表紙はダブルフェイスになる。
片側がCLUTCH Magazineで、もう一方がmen's fileの表紙。
売る時は一冊だが、読む時は二冊。
ただ、現物がないと、知らない人にはいくら言葉で説明しても通じやしない。
ましてや私の下手な英語では。
頭の中でイメージはできた。
誰もやってないことをやってやろう!
CLUTCH Magazineを買うとmen's fileが付いてくる。
men's fileを買うとCLUTCH Magazineが付いてくる。
場所や相手に合わせて、どっちが前になってもいい。
これが、長いこと考えてた「何か」の答えだった。
帰国して、すぐに合本で作ったLightningをサンプルとしてロンドンに送った。
もちろん、ニックも驚いてくれたし、これならどちらも立つ。
バカだね〜って、そんな突拍子もないアイデアを笑ってくれる人もいた。
それは、私にとっての一番の褒め言葉だった。
続く