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Chief's Voice

編集長ブログ

2016.05.21

ヴィンテージ界のレジェンドが他界されました。

person vintage

 ボビーを取材できた時間は限られていたが、レジェンドと呼ばれる人物に会えた興奮は、その後もなかなか冷めやらなかった。
ヴィンテージ界の偉大なる男は、自らの偉業を決して鼻にかけることなく、音楽に合わせて歌を口ずさみながら、
訪れる客を皆平等にもてなしていた。目元に浮かんだ笑い皺が、今でも深く印象に残っている。
彼はヴィンテージと共に半世紀近い時を過ごし、これからもまだまだ貪欲にヴィンテージに向き合う。
取材当日も、自身が買い付け、大きな段ボールで届いたベストの山を一枚一枚仕分けながら、
どこに並べるか、スタッフたちと相談を続けていた。
好きなものを生業とし、常に第一線で走る人物は、損得勘定や余計なしがらみなどに捉われることなく、
ただ好きだという気持ちで動き続け、周囲の人へも常に影響を与えながら生きているのだ、ということを彼の姿から学んだ。
文・松葉郁奈 写真・加藤里紗
クラッチマガジン vol.30 9月号より
 
長い引用になってしまったが、これはかつてクラッチマガジンでヴィンテージ・クロージング界のレジェンドと呼ばれるボビー・ガーネットさんを、編集部の松葉とNY在住のフォトグラファー加藤が彼を取材して13ページの記事にした時の、締めの本文だ。

その、ボビーさんが亡くなったという訃報が20日の朝、編集部に届いた。
5月20日は、東京ではリーバイス誕生の日のパーティが夕方から開催され、私も招待されていた。
不思議な因果である。
私がボビーさんの店、「Bobby from Boston」を初めて訪問したのは2012年のゴールデンウィーク。
連休を利用してボストンを訪れ、その時に立ち寄ったのだ。
 
まだヴィンテージ・クロージングなんていう概念がない1960年代からヴィンテージ・クロージングの魅力に気付き、
それを生業にしていった。
 
印象に残っているのは、昨年秋のNYブルックリン。身体を病におかされ長年車椅子生活だったボビーさんが、Inspirationというヴィンテージ・カルチャーイベントにわざわざボストンからやって来た時だ。
常に大勢の人が彼の周りに集まり、握手を求めた。私
もその一人。一緒に写真まで撮らせていただいた。


その時、「素晴らしい写真を使ってくれてありがとう。そして、素晴らしい本をありがとう」と言ってくれた言葉が耳に焼き付いている。
 


心よりご冥福をお祈りする。
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